9・11ジェネレーション―米国留学中の女子高生が学んだ「戦争」
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すばらしい著作 |
米国の超エリート高校留学中に同時多発テロ,イラク戦争を経験した日本の女子高生が,戦争,米国社会等について高校生の立場から思索を深めていく。
著者は,生真面目で極めて優秀な高校生なのだろう。本の内容は,単に自分の体験を報告するというよりも,自分の思索の結果を発表するという点に重点がある。この点で高校生らしくないと物足らなさを感じる人もいるかも知れない。しかし,大きく難しい問題を単純化せず,また誇張もせず,大きな視野で見つめて,高校生の感性から自分の問題として思索を深めていく,すばらしい内容になっている。視点は,ジャーナリストよりも研究者に近い。
著者が将来どのような職に就くかはわからないが,どんな職に就いても一級の仕事ができる人物になると思う。
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もう少し素朴な観察を文章にしてほしかったかも。 |
日本人にこんな優秀な高校生がいるのか!!と驚かされるぐらい、本書の内容は全体として大人びています。
しかしもっとも興味深く読めるのは、逆に大人びていない箇所ですね。とくに一章。9・11以降のアメリカ人の不安と焦燥感の高まりが、高校生の素朴な視点から描かれていて、他の人には書けない優れた報告になっていると思います。
後半になると著者の政治論・歴史論が増えてくるのですが、その辺りは正直なところ、刺激になりませんでした。著者の主張よりも、もっと、アメリカの学生たちに対する観察、解釈に軸を置いたアメリカ論が読みたいというのが僕の個人的な感想です。そうしてこそ、著者のオリジナリティが出てくるのではないでしょうか。
でもまあ、一読の価値はある良い本だと思います。
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著者の”立ち位置”が見えにくく感じました |
”若さ”を強調するタイトルとは裏腹に、年齢を感じさせない、著者の冷静な観察眼と洞察とによって書き進められた本書であったが、
年齢を感じさせないが故の”違和感”が、一読して強く印象に残った。
その”違和感”とは、「著者の拠って立つところが見えにくい」ということである。
確かに、俯瞰してみれば、「日米の違い」を探る視点からは「日本」が何らかの”立ち位置”になっていることは間違いなく感じられるのだが、
”戦争”はとどのつまり、人と人とがきっかけとなっておこすもの、すなわち「人」というところに注目した場合、彼女の”立ち位置”が途端に見えにくくなる。
つまり、「国」や「社会」という1つの”組織体”に焦点を当てた観察眼/洞察には理解し、時には同意できるところもあるのだが、「人」というミクロに焦点をあてて読もうとすると、著者自身の人となりも見えにくく、また名前が紹介される(著者を取り巻く)アメリカ市民1人1人の人となりも見えにくいことに気付く。
全般を通じて、非常に「概念」「理想形」を軸とした観察眼/洞察になっているようにみえるところが、”戦争”の本質に迫りきれていない(むしろ本質から目がそらされてしまうような)感を受けることになり残念。
社会の裏表、人間の裏表を理解する試みを継続しつつ、それを超えるような著述活動を今後著者が目指されんことを祈念したい。
特にその「裏表」の間にこそ、戦争/暴力といった争いの根源、そして苦悩が潜んでいるはずだから・・・。
その過程で、自ずと著者の”立ち位置”が行間から現れてくるに違いない。(もしかしたら著者は”立ち位置が見えない”書き手を志向しているのかもしれないが、”立ち位置が見える”というプロセスを経た後にはじめて、"立ち位置の見えない”書き手としての大成の道が見えると考える)
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私は911を同世代がどう感じたか知りたかった。
書店ですぐさま手に取ったのは著者の年齢が最も重要だったからで、事件前、事件中、事件後を米国内で体験していることからも興味を持った。
彼女の事件に対する観察態度や事実に対する冷静さはアメリカの教育も深く原因していると感じるが、中でも事件当時の記述は生々しい。アメリカの状況が事件以後急変していくと、アメリカの生徒も政府の強硬論を後押ししていき、彼女の疎外感は私が日本にいて感じたものに近くなっていく。彼女は日本とアメリカを両方生きているのだと感じさせられた。日本にもアメリカにも開かれた態度が貫かれている。読み勧めていくうちに読者はそのことに納得していくだろう。
その意味でも、日本語で書かれ、日本人が読むことができる本書は見逃せない。
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欲を言えばあと一歩欲しい |
アメリカのプレップスクールへ留学していた高校生からみた9.11後のアメリカ。実際に現地にいたこと、そして政治的でない高校という立場にいた仲間がいたこと、高校としてかなり優れた教育を行われていた場所であったことなど恵まれた環境から生まれた素直な本だと思う。
アメリカ政府に対する対応、そして反応の変化など実体験にもとづいた言葉は、アメリカも決して団結していたわけではなく、その中に当然葛藤や反発があったことを意識させる。高校生の体験が元にはなっているが政治的打算のない一人の人の言葉として読む価値があると思う。
だが欲を言うならば、彼女の中の目指すべき世界をもう少し語ってもらいたかった。現行の情勢に対する懐疑的視線は納得できる点が多くあったが、よい本だと感じたからこそその先を期待したい。



